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出版社:医歯薬出版
著 者:佐藤 司
ジャンル:介護・福祉
判 型:A5
発行年:2008年
ISBN:9784263242360
税込価格:3,990円
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| はじめに |
柔道整復師・鍼灸師が開業する機能訓練に特化した通所介護事業所(以下,デイサービス),介護予防通所介護事業所(以下,介護予防デイサービス)が全国で増えています。今回,インターネットで検索したら200カ所以上の柔整師・鍼灸師が経営しているデイサービスが見つかりました。それらのホームページの内容を見ると実に面白い。「東洋医学を駆使して機能訓練を行う鍼灸師」「痛みの管理と機能訓練を完璧に両立させる柔道整復師」「筋力トレーニングマシンを自由自在に扱い,魔法のように高齢者を元気にさせるマッサージ師」。こんなにすごい先生たちがデイサービスという介護保険事業で活躍していることに驚きました。私は,この新しい事業に果敢に挑戦しているエキサイティングな先生たちをもっと知りたいと思いました。私自身,東京都内で2カ所の鍼灸整骨院と併設した小規模機能訓練特化型デイサービスを経営しています。私のデイサービスの利用者は,整骨院,鍼灸院に来ている膝痛,腰痛の患者と同じような疾患を持った高齢者ばかりです。それらの経験から,デイサービスの機能訓練や運動器の機能向上は,柔道整復師・鍼灸師の専門的技術が最も発揮できる分野であると確信しております。
現在,介護保険で使われる費用は年間6兆7千億円(平成19年度)で,デイサービスだけでも年間7千億円以上が使われます。このうち半分は国民の税金です。全国にデイサービスは2万2,676カ所もあり,過当競争で潰れるところも数多く出ています。私は,介護支援専門員(ケアマネジャー)として沢山のデイサービスを見てきました。認知症や車椅子の利用者などに対応するデイサービス職員の献身さは,ただ,感心するばかりです。あるデイサービスでは,毎日40人近くの利用者を送迎車両によって集めて,少ない職員で30人程度の利用者を入浴させ,食事やレクリエーションなどを行って夕方自宅まで送り届けます。職員は,入浴介助だけでも目の回るような忙しさです。利用者の皆さんは,心やさしい職員のお世話やデイサービスの仲間との雑談などに満足して通っています。家族もデイサービスに行っている間に自分の自由な時間を持つことができ,しかも利用料は,実際にかかった費用の1割と食事代程度で済みます。
デイサービスは認知症や重度要介護者の閉じこもり予防と,入浴サービスによる清潔の保持には非常に効果がありました。では,要支援,要介護1などの軽度要介護者への対応ははたして適切であるといえるでしょうか? 実際,私の経営する介護予防デイサービスの利用者と80歳代の整骨院・鍼灸院に来ている患者に体力測定をしました。その結果,整骨院・鍼灸院に来ている80歳代の大部分は,介護保険の申請をすれば要支援程度に認定されることが明らかになりました。介護保険制度は全高齢者の7人に1人,450万人が利用しており,そのうち軽度要介護者は150万人といわれます。この150万人の4割程度の50万人以上がデイサービスを利用しています。介護保険は社会保険事業のひとつです。保険とは保険事故に対してサービスを提供するもので,たとえば医療保険制度であれば,保険事故は病気や疾病に医療サービスを現物給付します。雇用保険であれば失業という保険事故があります。介護保険の場合,要支援状態,要介護状態をいいます。軽度要介護者のほとんどが要支援状態に該当し,要支援1の状態とは「生活機能の一部がやや低下しており,「起き上がり」,「立ち上がり」等が不安定で,日常生活の一部に介助が必要な状態」をいい,要支援2の状態とは「生活機能の一部が低下しており,「歩行」が不安定,「入浴時の洗身」,「つめ切り」等身だしなみの一部に介助が必要な状態」をいいます。これらの方たちに対する適切なサービスとは,主に「起き上がり」「立ち上がり」に支障がある膝痛や腰痛の施術と下肢の拮抗筋の強化であることは機能訓練に携わるものであれば容易に想像がつきます。ところが驚いたことに,デイサービスを利用している数十万人の軽度要介護者には,これらの機能訓練がほとんど行われていないのです。整骨院・鍼灸院に通える身体機能レベルの高齢者を送迎車で連れてきて,6時間以上椅子に座らせ,手芸やカラオケをさせることは,本来の介護予防の趣旨に反しています。一般的なデイサービスでは,「遊びリテーション」などと称して風船バレーや,座って行うパッチワークなどのお遊戯をデイサービス職員は毎日必死に考えます。認知症や重度要介護者には,それなりの意義がありますが,膝痛や腰痛がある軽度要介護者に保険制度を使ってまで行う必要はありません。地域在住の高齢者の7人のうち6人は介護保険を利用しておらず,その中には,整骨院・鍼灸院にシルバーカーを押しながら懸命に通う膝痛や腰痛の患者さんも多いのです。それならいっそ「柔道整復師・鍼灸師にしかできない介護予防デイサービスをつくればよい」というのが私の持論です。
「患者さんをデイサービスに取られてひまになった」という先生がいます。一方,「介護予防デイサービスを開設した」という先生も増えています。うれしいことに機能訓練に特化した介護予防デイサービスは,柔道整復師・鍼灸師の新しい職域として全国に広がっています。この流れをより加速するには今しかなく,この機会を逃すと柔道整復師・鍼灸師の将来に多大なダメージを与えることが推測されます。介護予防デイサービスは,柔道整復師・鍼灸師が療養費以外の社会保険事業として成功できる最後に残されたチャンスです。将来的には柔道整復師の年間療養費を超える社会保険事業になる可能性もあります。たとえば要支援の高齢者のうち3分の1の約50万人が介護予防デイサービスを利用した場合,全国に1万カ所が必要になります。ひとつの小規模の介護予防デイサービスの年間収入が2,000万円とした場合,年間2千億円の市場となります。また,介護予防デイサービスにスタッフとして2人の柔道整復師・鍼灸師が働くと,2万人以上の雇用が新しく生まれます。この市場に参入するために理学療法(PT)関係やスポーツ関係など,多くの業界が研究しております。
柔道整復師・鍼灸師のような骨関節の専門家が介護予防デイサービス事業にどんどん参入して,軽度要介護者が元気になったというエビデンス(科学的証拠)を出すことができれば,多くの高齢者が救われ,また,柔道整復・鍼灸業界も新しい職域の開拓としても活性化します。
小規模型の介護予防デイサービスは,小資本で開業でき,地域性も高く,施術との共通点も多く,参入しやすい事業です。しかし,介護予防デイサービス事業は,接骨院,鍼灸院の開業と比較して,さまざまな意味でむずかしい事業といえます。安易な気持ちで開業しては,法令違反によって指定取り消し,多額の返還金を求められることになりかねません。私は,介護予防デイサービスが柔道整復師,鍼灸師の新たな市場として成長するためには,標準化を図る目的でガイドラインとして,開業者の苦労とか思いが述べられた本書の発行が必須であると考えました。どうか,介護予防デイサービスを開業する前に,まず開業された方の思いとか苦労を知ってください。そしてその方たちに負けないぐらい,すばらしい介護予防デイサービスを作ってください。そして,本書が,志のある多くの柔道整復師・鍼灸師が介護予防事業に参入するための勇気の源となることを強く願っております。
2008年5月
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| 主要目次 |
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PART1 |
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介護保険制度を知ろう! |
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PART2 |
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通所介護・介護予防通所介護事業所の 概要をおさえておこう! |
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PART3 |
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通所介護・介護予防通所介護事業所の 指定申請の仕方を知ろう! |
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PART4 |
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介護予防通所介護と運動器の機能向上 |
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PART5 |
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介護予防デイサービス開業者の体験談を聞こう! |
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PART6 |
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柔道整復師・鍼灸師が経営しているデイサービス初の調査でわかった参考になる |
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実態―柔道整復師・鍼灸師が経営しているデイサービス調査報告書 |
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索 引 |
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